押入れの奥のリコーダー講座


栗コーダーカルテットで笛のワークショップ。
グリーンホール相模大野にて。
http://www.hall-net.or.jp/schejule/kouen/2006/green/Gt0310.html


昨年、水戸で行ったワークショップは、
学校で笛を習い始める前の小学1,2年生とその親を対象に、
「はじめのリコーダー」と題し、
言わば子供向けのプログラムだったわけだけど
(1年ほど前の日記に当時のメモがあります)、
今回、再びワークショップをやるにあたり、まず最初に考えたことは、
「じゃ今度は大人を対象にやってみよう。」ということ。


ただそこで問題がひとつ。
古楽などに傾倒した本格的な演奏家の人達が間違って受講しに来たら困る。
とても困る。
栗コーダーのメンバーは決して笛の専門家ではないので、
バンドとその音を知っている人であればそういう間違いはしないだろうけど、
リコーダーのワークショップという部分だけで申し込まれると、
それこそ、アイフルのCMみたいなことが起きかねない。


「押入れの奥のリコーダー講座」というネーミングを考えついた時、
「これならいけそうだ。」と思った。
大人が対象であることと専門家が対象でないことが両方言い表せた。


さて、内容に関して。
前回から引き続き根底にある主旨としは、
「笛をうまく演奏できるようになる」というよりも、
「笛を通じて音楽の楽しさに触れてもらう」みたいな部分。
栗コーダーがやるワークショップとしてはこれも必然的な流れだろう。
プレイヤー指向の人はそれこそプロの演奏家のワークショップを受ければいいわけで。


具体的な内容。
「はじめのリコーダー」では、左手だけを使い、
「ラシ」の2音だけで出来る曲、
「ソラシ」の3音だけで出来る曲、の2曲を作り、
パネルを見ながらコブラ(注1)風なことをやる即興演奏含め
3曲をコンサートで演奏するというものだった。


今回は一度は笛を吹いたことがある大人が対象ということで、
もう少し踏み込んでみたい。


ただここで問題がもう1つ。
受講生が持参するリコーダーにはジャーマン式とバロック式(注2)が混在
しているので、同じ「ドレミファソラシド」を吹くにも指使いが違ってくる。
これは教える側にとっては大変やっかいな問題だ。
どげんしよか?
そこで指使いが最も大きく違うところの「ファ」の音を使わない曲をやる
という方針を先ず立てた。
さらにペンタトニックスケール(注3)という枠を設けるのはどうかという案も。
「ソラシレミ」のGペンタトニックなら「ファ」も出てこないし、
ソプラノリコーダーでちょうど吹きやすいレンジでもある。
ペンタトニックで出来た曲は世の中にたくさんあるし
(人に聞いた話だが、ペンタトニックで作られた曲が
必ずグラミー賞にノミネートされているという説さえ)、
メンバーの関島さん曲にも多いような気がする。
実際ペンタトニックという案を出したのは関島さんだし、
昨年関島さんが「ラシ」だけで作った「はじめてのたこあげ」も
ペンタトニックから3音そぎ落として作った曲じゃないかと推測される。


ただ自分の曲にはペンタトニックの曲は少ない。
昨年作った「ぼくらのソラシ」はある意味ペンタトニック内に
収まってはいるが、それは3音でというのが先ずあってのこと。
ペンタトニックっぽい曲はあっても、
基本的に普段まったく意識して作っていないので、
曲のどこかにハ長調で言うところのファやシ(4,7度)が自然と出て、
ペンタトニックスケールから外れてしまう。


じゃ、この機会にペンタトニックだけで1曲作ってみよう。
そうして作ったのが今回の課題曲にもした「押入れの奥の宝物」という曲。


受講者のリスト(220名応募中の40名だそうだ)を眺めつつ、
音域をどこまで広げるか検討しつつ、
結局2オクターブ目の「ミ」まで踏み込んでみて「レミソラシレミ」で作った。


ペンタトニックだと曲作りのとっかかりがいい分、
スケールが醸し出す東洋的な雰囲気にすぐ飲み込まれそうになるので、
なかなかオリジナリティを出すのが難しいのだけど、
コードの付け方などをそれなりに工夫して
(16小節中半分がノンダイアトニックコード(注4))
そこそこ自分らしい曲になったのではないかと思っている。


おかげでハモりを付けたアルトリコーダーのパートには
ペンタトニックスケール外、ダイヤトニックスケール(注5)外の音
もいくつか出てきて、ほどよい難易度になった。
アルトリコーダーを持参してくる人はソプラノの人よりも
多少は腕があるのではないかという読みがあったので、
このことは結果オーライでちょうどよいのではないかと思っている。


あ、曲作りの話になってるな。


それと、もう1曲、
やはりペンタトニックで出来たチョ〜有名なスタンダードナンバー。
今回はレッスンできるのが2日間、全部で4時間なので、3回目の本番、
ステージ上で栗コーダーと一緒に演奏してもらうのはこの2曲になりそうだ。
ただ1回目を終え、とてもいい手応えだったので、
ひょっとしたら何かプラスαあるかも。


今回の参加者、下が22歳、上が68歳。平均年齢38歳だそうだ。
自分のおふくろと同じ年齢の人と一緒に音楽をやるなんて、なんだか不思議な気分だ。


祝、よかろうもん。


(注1〜5:検索してみて下さい。)